BING & RUTH
SPECIES

エクスペリメンタルな新興レーベル〈RVNG〉からリリースされた初期作品はエレクトロニクスとアンビエント・ドローンが交差するサウンド・プロダクションで注目を集め、その後〈4AD〉と契約を果たしたニューヨーク・ブルックリンのピアニスト兼コンポーザー、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト、ビング・アンド・ルースが最新作『SPECIES』をリリース。

米ローリングストーン誌が発表した「2017年の年間ベスト・アバンギャルド・アルバム TOP20」において、11位にランクインするなど高評価を得た前作『NO HOME OF THE MIND』では、ニルス・フラームやゴールドムンドからティム・ヘッカーまでが溶け合った珠玉のミニマル・ミュージックを披露した。
実に3年ぶりのアルバムはファルフィッサ・オルガンの音響を全面的に探求し、初期からのメンバーであるジェフ・ラトナー(BASS)とジェレミー・ヴァイナー(CLARINET)と共にテキサス西部にある砂漠とペカン農園があるSONIC RANCH STUDIOでレコーディングが行われた。
また作曲時には普段の生活と全く違った場所へ意図的に自分を置き、方向感覚や規模感、時間の感覚を敢えて失わせ、そこから生まれる孤立を音に反映させていった。鳴り止むことのないオルガンの温かなエレクトロニクスと反復する電子音が邂逅し、ジャケットの壮大な砂漠の地平線に沈みゆく太陽の情景が思い浮かぶような神秘さも感じることができる。