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新世代のブラジル音楽シーンを牽引するSSW、フーベルによるブラジル音楽への回帰作であり、新たな代表作!!
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メーカー・インフォメーション
フーベルは、1991年、リオデジャネイロの音楽一家に生まれた。大学進学を機に交換留学生としてテキサス州オースティンに赴くと、2013年には1stアルバム『Pearl』を発表した。発売当初はあまり話題にならなかったものの、2015年に『Pearl』の収録曲「Quando Bate Aquela Saudade」のビデオクリップが注目され、フーベルは早くも日の目を浴びることとなった(現在でもこの曲はブラジル国内で最も人気のあるフーベルの曲の一つだ)。ブラジルの自然派化粧品メーカーである「Natura」から資金援助を受けたフーベルは、2018年には2ndアルバム『Casas』をリリース。『Pearl』は、アコースティックサウンドを基調としたフォークアルバムだったが、『Casas』はヒップホップやエレクトロニクス、管弦楽器を大胆に取り入れたチェンバー・フォーク作品となった。この作品は日本国内でも高い評価を受け、ラジオ番組「NX NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE...」と 「月刊ラティーナ」が主宰した、2018年の「ブラジルディスク大賞」では関係者投票で1位を獲得した。
しかし一方で、『Pearl』と『Casas』は、フーベルが幼いころから聴いてきたというブラジルの伝統的な音楽の要素は明らかに希薄だった。もちろん、『Casas』の制作過程でインスピレーションを受けたアーティストはフランク・オーシャン、チャンス・ザ・ラッパー、ボン・イヴェールといったアーティストたちであったというから、全く不思議なことではない。このような英語圏のアーティストたちへの傾倒の反動だろうか。『Casas』に続くフーベルの3rdアルバム『As Palavras, Vol.1 & Vol.2』(2023)は、明らかにブラジル音楽への回帰作となった。なお、本作は意図的にVol.1とVol.2の2つに分けられている。Vol.1では、『Casas』ですでに試みていたようにヒップホップ以降のブラジルのポップミュージックに接近しており、どちらかといえば陽気な雰囲気の曲が多い。一方、Vol.2では、静的かつ内省的なバラードが多くなっている。フーベルは、ブラジル音楽の静と動を取り込み、最先端のサウンドを吸収すると同時に伝統への敬意を込めた、壮大な物語を創り上げたのである。
『Casas』を彷彿とさせるようなストリングスとコーラスが絡み合うインスト曲「Forró Violento」が、物語の幕開けを伝える(コーラス・アレンジを手がけているのはバーラ・デゼージョのドラ・モレレンバウムだ)。それに続くのは、「一粒の砂」を意味する「Grão de Areia」。パゴーヂ・バンド、グルーポ・へヴェラサォンの元メンバーであるシャンヂ・ヂ・ピラーレス(昨年、カエターノ・ヴェローゾのカバーアルバム『Xande Canta Caetano』をリリースしたことで話題になったアーティストだ)をフィーチャーしたこの曲は、まさにこのアルバムを象徴するような曲といっていいだろう。サンフォナの穏やかな音からゆるりと始まったかと思えば、途端にサンバに変貌し、聴き手を歓喜の渦へと引きずり込んでいく。このアルバムで大きく取り上げられている音楽の要素として、特にフォホーとサンバが挙げられるが、この曲はまさにその両者を絶妙なバランス感覚をもって折衷してみせた名曲中の名曲だ。3曲目「Não Vou Reclamar de Deus」は、同じくリオの新進気鋭のアーティストであるアナ・フランゴ・エレトリコのプロデュース曲。コーラスによってドラマティックに彩られた終盤の高揚感がたまらない。この2曲を聴いただけでも多くの人が心を掴まれるはずだ。
Vol.1の中盤にさしかかると、アルバムの空気は一変する。DJガブリエル・ド・ボレルによるプロデュース曲「PUT@RIA!」では、BK、MCカロルといった人気ラッパーたちを客演に迎えている。前作『Casas』でもヒンコン・サピエンシア(Rincon Sapiência)やエミシーダといったラッパーをフィーチャーしていたように、「ヒップホップとMPBの融合」というコンセプトは今作でも健在だ。次曲「Rubelía」は、本作の制作過程で大きな影響を受けたというロザリアへのオマージュ曲(タイトルは見ての通り「Rubel+Rosalía」に由来する)で、レゲトン風のインストトラックとなっている。フーベル、マームンヂ、カルロス・フフィーノの共作である7曲目「Posso Dizer」は、これまでの2曲と打って変わってトラディショナルなサンバだ。子どもの無垢な歌声が良いアクセントになっている。
Vol.2の開幕を飾るのは、リニケルとルエジ・ルナが参加した「Torto Arado(曲がった鋤)」。この曲のタイトルは、イタマール・ヴィエイラ・ジュニオールによる同名小説のタイトルに由来している。2021年にベストセラーとなったこの小説は、家父長制社会が内包している暴力性に対する批判を内包している。フーベルもまた、本作で伝統に回帰してはいるが、悪しき伝統に対しては「NO」を突き付けているのである。ミルトン・ナシメントを客演に迎えた「Lua de Garrafa」は、ミルトン自身の個人的な友情、そしてクルビ・ダ・エスキーナへの賛歌だ。Disc2中盤の「Amor de Mãe」は、母への愛が込められた、素朴ではあるが胸を打つバラードだ(後半でうっすらと聞こえてくるのはフーベルが2021年に発表したシングル「O HOMEM DA INJEÇÃO II」)。アルバム終盤の「Assum Preto」と「Forró no Escuro」は、どちらもフォホーの音楽スタイルを確立したルイス・ゴンザーガのカバー。「Assum Preto」ではドラ・モレレンバウムがヴォーカルを担当している。
先にも述べたように、フーベルは 自身が影響を受けてきた多様な音楽のエッセンスを融合させることを試みている。そのように折衷的であるということは、常に分裂への可能性を孕んでいるということでもあるのだが、フーベルは、決して分裂してしまうことなく、ブラジルの伝統音楽とヒップホップ以降のブラジルのポップ・ミュージックを懸架し、一つのまとまった作品として昇華させてみせた。彼のブラジル人としての民族的アイデンティティー、伝統への真摯な眼差し、現代のポップ・ミュージックやトレンドへの感度の高さ。本作はそのすべてが緻密に表現された一大傑作だ。『Casas』に続くフーベルの「新たな代表作」。そう呼んでしまっても何の問題もないだろう。
Track List
Disc 1
A1. Forró Violento
A2. Grão de Areia (feat. Xande de Pilares)
A3. Não Vou Reclamar de Deus
A4. Toda Beleza (feat. Bala Desejo)
A5. PUT@RIA!(feat. BK, MC Carol & Gabriel do Borel)
B1. Rubelía (feat. Deekapz)
B2. Posso Dizer
B3. Vinheta As Palavras I
B4. As Palavras (feat. Tim Bernardes)
B5. Forró Violento
Disc 2
C1. Torto Arado (feat. Liniker & Luedji Luna)
C2. Lua de Garrafa (feat. Milton Nascimento)
C3. Na Mão do Palhaço
C4. Doutor Albieri
C5. Samba de Amanda e Té
D1. Amor de Mãe
D2. Vinheta As Palavras II
D3. Assum Preto (feat. Dora Morelenbaum)
D4. Forró no Escuro
D5. Toda Beleza (pelos loirinhos)